雑感

伝わる言葉

 「高校生諸君は『大学案内』のコピーをそのまま暗誦してきたようなストックフレーズを『呪文』の様に唱えだすからである。(中略)疲れ切った面接官に向かって、木で鼻をくくったような応接をすれば、面接官の『むかつき』度というものが一気に上昇する、という理路がなぜご理解頂けないのか。(中略)問題はそれが『伝わる言葉』で語られているかどうか、ということである。(内田樹『町場の大学論』より抜粋)

 

 これを読んだ時、ドキッとしました。確かに・・・受験する本人は自分のことで必死ですが、面接をする側としては大多数の受験生のうちの一人にしか過ぎないのです。その大多数の受験生が同じような「呪文」…そりゃあたまらないでしょう。

 

 そこで現高校生に次のように言いました。「憧れの○○大学の志望動機を聞かれたら何て答える?決して本校は伝統があり、優れた教授陣が揃っているので充実した大学生活を送れると思ったのです・・・といったありきたりの答えは駄目。」と。すると「学生さんが熱い!目をキラキラさせているし、ゼミ旅行で紫式部陵(☜実は本人がずーっと行きたがっている場所)に行くなんて素晴らしすぎるから!」という回答が。

  「面白い!」と思いました。少なくともありきたりの「呪文」よりはよほど「自分の声」「伝わる言葉」だと言えるでしょう。むろん、突然に聞いたので文章に起こすと言葉足らずですが、実際の面接の前にはきちんと文章を組み立てるとそれなりの回答になるはずです。

 ではなぜ先のような「自分の声」となったか?オープンキャンパスに行ったからだそうです。諸所の事情から受験当日が初めての来校となる場合もあるでしょう。その場合は、なんとか学生の生の声等といった情報を集めて自分の中でイメージを膨らませると「呪文」ではない回答が出来ると思います。頑張れ受験生!

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