語彙力 鑑賞

「念ずる」

 「念じる」という言葉を皆さんは当然、知っていると思います。何気に使う「念ず(じる)」ですが、実は古語では「祈る、祈願する」のほかに「我慢する」という意味で使われます。

 宇治拾遺物語には次のようにあります。「いま一声(ひとこゑ)呼ばれていらへんと、ねんじて寝たるほどに」【訳】もう一度呼ばれたら返事をしようと、じっとこらえて寝ているうちに。

 ある物事を成し遂げるためには、時間やお金のやりくり、体力勝負。。。等々様々な制約がある中、我慢しなくてはならないことも多々あるでしょう。そうやって必死で念じる(我慢する、祈る)からこそ花開くことがほとんどなのです。

※「念ずれば花開く」は熊本県出身の詩人、坂村真民(さかむら しんみん)さんの詩の一節に出てくる言葉です。

 

 

 つまり「祈る」だとなんとなく他力本願的なイメージがしたので、日々頑張っている友人に対して「念ず」がピッタリ!と勝手にニヤニヤしています。言葉は一つ一つに深い意味があり、それを使い分けて遊ぶことは自分自身のボケ防止にもなり、楽しいです。

 自分はもちろん、周囲の皆が綺麗な花を咲かせられるよう、楽しみながら「念じ」ます。

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