鑑賞

「秋」≒「人生」

 立秋をとっくに過ぎたとはいえ、まだまだ暑い日が続いており、秋の訪れが待たれますね。さて、「秋」には皆さんどんなイメージを抱くでしょうか?「読書の秋」「食欲の秋」などなど色々な言葉を思い付くことでしょう。

 今日は「秋」の一句を紹介します。

「おほかたの  あきのあはれを思ひやれ 月に心はあくがれぬとも」(紫式部)

(意訳)「世の中は、もの悲しい寂しい秋に包まれています。どうか、そのことを思いやってみて下さい。あなたは美しく輝く月のような女性と出会って心躍っているのでしょうけれども、その陰には嘆きに沈む女たちがいるのかもしれませんから・・・・。」

 華やかな宮廷の世界に身を置きつつも、冷静な目で宮廷の裏側の負の部分や世の中を見つめた彼女の視点は素晴らしく、大作「源氏物語」の作者らしいと改めて感じます。

 秋は冬への準備をする時期で、それらを目の当たりにできる頃=もの悲しく寂しいイメージが合います。これが「夏」だといまいちピンときません・・・。秋は「収穫」の時期でもあり明るいイメージもありますが・・・。

 さて、人生は楽しい方がいいですが、楽しいことばかりの人生を歩める人なんて絶対にいません。ある意味、苦しみがあるからこそ楽しい時のありがたみが分かるのです。

 楽しい、うまくいっている時こそ有頂天になって浮かれて足が地につかない状態になるのではなく、紫式部のように常に冷静でぶれない視点を持ち続けていきたいものだとしみじみと感じる9月です。

 

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