古文 雑感

陰徳陽報

  高校生対象の過去の進研模試の古文問題に「陰徳陽報」についての課題文がありました。昔話や古典では「陰徳陽報」的な内容が多く、代表的な物には「かさこじぞう」が挙げられるでしょう。

 「陰徳陽報」とは「陰ながら(誰にも知られないように)徳を積む(善い行いをする)と、必ずよい報いがあるということ。」です。こういう考え方は素晴らしいです。誰が見ていなくてもお天道様は見ていらっしゃると思うと少なくとも悪いことをしようとは思わないですから。

 さて、仏教用語に「因果応報」という四字熟語があります。意味は「原因としての善い行いをすれば善い結果が得られ、悪い行いは悪い結果をもたらすとする。」となりますが・・・。

 これは間違って解釈すると怖いなあと常々感じています。いわゆる、最近はやりの「引き寄せの法則」に当てはめると「自分が悪い行いをしたから良くないことが起こった」となってしまうからです。むろん、そういうこともあるでしょう。

 でも、本人にとって悪いこと・不幸なことは必ずしも自分が原因ではないことが多々あります。例えば、自然災害は本人が悪いことをしたから起こるのかというと決してそんなことはありません!辛い出来事があったときに「あなたに原因がある(引き寄せた)から頑張りなさい。」と言われたら・・・自己否定が大きくなるばかりです。時には「逃げる」ことの方が大切です。昔から受け継がれている知恵を正しく解釈して生活に生かしたいものです。

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