国語の授業では、自分の考えを伝える際「主張+理由」をセットにするのが鉄板です。相手を納得させるためには、客観的な根拠が必要だからです。
しかし、学校を出て日々の暮らしの中で人と向き合ってみると、教科書通りにはいかないことに気づかされます。むしろ日常生活においては「理由を伏せる」ことこそが、自分と相手を守るための高度な技術になる場面があるのです。
特に、何かをお断りする時。 私たちはついつい「予算が」「時間が」「予定が」と理由を並べてしまいがちです。
しかし具体的な理由を口にした瞬間、それは相手にとって「攻略すべき壁」に変わります。
「予算がない」と言えば、安さを提示される。「時間がない」と言えば、効率化を提案される。 良かれと思って伝えた「理由」が、かえって不毛な押し問答…下手するとさらなる勧誘の呼び水になってしまうのです。
そういう場合は「今はできません」「白紙になりました」とだけ伝え、本当の事情を伏せておけば、相手が踏み込める隙間はなくなります。
あえて理由を語らないことは時には大切なのです。決してそれは相手に対しての冷たさではなく「これ以上は不毛な時間を使わせない」という一種の誠実さでもあります。
論理で相手をねじ伏せる「納得」よりも、余計なことを言わないことこそが自分、相手に対しての心遣いだということを肝に銘じたいですね。