「カレーパンは私にとっての安心です。」
先日の大人の文章講座で、とある受講生の方が書いたのは、上記のたった一言の文でした。インパクトは絶大。しかし、私にはその「安心」が何を意味するのかさっぱり分かりません。
なぜ、カレーパンが安心なのか?その背景にあるエピソードを尋ねると、受講生の方は堰を切ったように話し始めました。幼い頃からの思い出、日々の小さな出来事、そしてカレーパンがそばにあることの意味。
「それです!それを文章で書いてください!」
と私が言うと、その方はハッとした顔でこう言いました。
「分かりました!私が他人から『怖い』と言われたり、話が通じないと思われたりする理由が分かりました。私は自分だけが分かっていること、結論だけを話してしまい、その間の部分が抜けていたんですね!」
まさに、有名な慣用句「風が吹けば桶屋が儲かる」と同じ状況です。風が吹く(前提)と桶屋が儲かる(結果)の間には、いくつもの出来事が隠されています。
この「真ん中の部分」が抜け落ちてしまうと、書き手は分かっていても読み手には何のことかさっぱり分かりません。「何言ってるの?あなた大丈夫?」となってしまいます。
読み手の心に届く文章を書くには、面倒でも結論に至るまでの道のりを丁寧に描くことが不可欠です。