鑑賞

「あやまる」の不思議

 「誤る」と「謝る」。

 同じ読みでありながら、その意味は微妙に違いますよね、ちがうというよりもむしろ逆です。それなのになぜ同じ読み方をするのか?と疑問に感じたことはありませんか?

 実はこの二つはもともと同じ語源を持つ、地続きの言葉です。一方は「正解から外れること」、もう一方は「非を認めて詫びること」。 言い換えると「マイナスを生む行為」と「マイナスを埋める行為」と言えます。

  古語の「あやまる」には「道理に背く」「そのままでは済まない」という意味がありました。 道から外れてしまった「事象」そのものが「誤る」であり、 その「事象」に対して言葉を尽くし、ケリをつけるのが「謝る」なのです。

 「誤り」を放置すれば、道はやがて行き止まりになります。 けれど、潔く「謝る」ことで私たちは再び正しい道へと合流できるのです。つまり「誤って」から「謝る」までが一続きの関係なのです。

 日本語の音の重なりには、こんな風に人生の教訓が隠れていることがあり興味深いですね。失敗を恐れて「誤り」を避けることよりも「誤った」あとにどう「謝る」か。

 言葉の使い分けの中に誠実な生き方のヒントがあるからこそ、私は漢字が大好きです。あ、意味を知っただけではなくきちんと実感して実行しようと自分に言い聞かせています。

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