小論文

他人の文章を読む効用

 先日、高校生の小論文授業で「とある学生の文章」を教材として見せ、気づいた点を述べてもらう練習をしました。これは、文章を客観的に見るための非常に重要な訓練です。

 なぜなら、自分が書く時、人は盲目になるからです。特に「あれもこれも書きたい!」という思考の欲求が湧き上がっている時ほど、一文が異常に長くなったり、文と文の接続がおろそかになったり、論理が矛盾したりすることが起こりがちです。

 書き手は自分の思考の流れを追っているため、それらの「違和感」に気づくことができません。

 しかし、ひとたび他人の文章として読んだ瞬間に「この一文は長すぎる」「この段落はつながっていない」といった問題点が、驚くほど明確に見えてくるのです。

 この「他人のフリ見て我がフリ直せ」の状態こそが、文章力向上の秘訣なのです。他者の文章を批判的に読む経験は、そのまま自分の文章を客観的にチェックする力へとつながります。

 文章力を鍛えるには単に書く量を増やすだけでなく、「読む視点」を鍛え、冷静に自分の文章を監視する「もう一人の自分」を育てることなのです。

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