鑑賞 雑感

比喩の危険性

https://news.yahoo.co.jp/articles/161899de9d4ab593edbe93417f2800ad594a6431?page=1

 「無言の帰宅」という言葉をめぐるSNSの論争を読んで、改めて言葉の難しさについて考えさせられました。この表現は「亡くなった」ことを婉曲に示す言い回しですが、知らない人は「無事に帰ってきたけれど黙っている状態」と誤解してしまうんですね。

 知っている人からすれば当たり前の表現でも、知らない人にとっては全く別の意味に聞こえてしまいます。

 国語の記述問題で、比喩表現をそのまま書くと減点されることがあります。それは「誰が読んでも理解できる言葉で説明する」ことが求められているからです。

 この原則は、実は日常のコミュニケーションにもそのまま当てはまるんですよね。けんすう氏が提案していたように、「無言の帰宅となりました。生きて会いたかったのですがとても残念で悲しいです」と、ほんの一言添えるだけで、知らない人も意味を理解できます。

 さらに、その言葉を知るきっかけにもなります。この「添え言葉」こそが相手への配慮であり、コミュニケーションの本質ではないでしょうか。

 知識の有無でマウントを取るのではなく相手が理解できるように伝える工夫をすることこそが、本当のコミュニケーション能力だと思います。言葉や文章は伝わってこそ意味があるのです。

 自分の当たり前は相手の当たり前ではないことを常に心がけることが大切でしょう。

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