九月九日の重陽の節句は、五節句の中でも最も格調高い行事として古くから親しまれてきました。「重陽」という名称は、陽数である九が重なることに由来します。
そして、この日が別名「菊の節句」と呼ばれるのは、菊が邪気を払うと信じられていたからです。平安時代の貴族たちは、菊の花を浮かべた菊酒を飲んだり、菊の香りを移した綿で体を清めたりして長寿を願いました。
ハイ、ワタクシ、菊花、酒、塩をいれたお風呂にゆーっくりつかり疲れを癒しました。これで無病息災、長寿は間違いない？
また、平安時代から続く「菊合わせ」「菊見」「菊枕」「菊酒」など、菊を冠した言葉は秋の季語として俳句や短歌に数多く詠まれ、日本人の季節感を豊かに表現してきました。
現代でも「菊日和」という美しい季語があるように、九月九日の穏やかな秋晴れの中で菊湯に浸かる心地よさは、言葉では表現しきれない豊かさがあります。
この美しい言葉の世界や風習をを現代においても大切に受け継いでいきたいものです。