今年の共通テストの化学で「枕草子」が出題されたことが話題になりました。 一見、古典文学と化学は無関係に思われますが、実は古典には自然現象や人間の心身の状態が丁寧に描かれており、これを現代化学の視点で読み解くと、当時の人々の暮らしや知恵がより身近に感じられるのです。
今回、共通テストに出題された、平安の人々が感じた視点を、今なら気象学や物理学の知識で科学的に説明できるのです。実際に、内館牧子さんの小説「十二単衣を着た悪魔」では、平安時代の登場人物たちの心身の不調に現代医学の病名をつけるという斬新な試みが行われています。
「もののけ」の仕業と考えられていた症状も、今なら鬱病や摂食障害、貧血などとして説明できます。また、十二単衣という重い装束をまとい湿度の高い気候で過ごしていた平安の女性たちは、身体的負荷や精神的ストレスにさらされていたと考えられます。
古典文学は、ただ過去を知るためだけのものではありません。自然や人間を深く観察した記録であり、現代の科学や医学で解明明かすことで新しい楽しみ方ができる文学ですね。