鑑賞

泉下の客、鬼籍に入る

 「日本語は美しい!」

 改めてそう思います。何気に読んだ文章に「泉下(せんか)の客となる」「幕を閉じた」とありました。亡くなった人のことを書いていることから「泉下の・・・」「幕を・・・」共に「亡くなる」の比喩表現だと分かりました。

 お恥ずかしいながら「泉下の客となる」に関しては初めて知りました。「泉下」とは黄泉(こうせん・よみ)のことを指しており、死んだ人が行くところのことです。「泉下の客となる」とは黄泉の国のもとへ訪れる客になることで、死ぬことを婉曲に表現した言い回しなのです。

 相手に誤解を招いてはいけない時は事務的に「死にました」「亡くなりました」「息をひきとりました」というべきでしょうが、そうではない時には「泉下の客になる」といった婉曲表現を使うと、「死」というきついイメージを払拭できそうです。

 先日、友人と〇十年前の学生時代の思い出話に花を咲かせた私。その際に「あのころの上司はもうとっくに鬼籍に入られているよね」。」とあえてカッコいい(苦笑)を使いました。

 さすがに「死んでるよね」はまずいし、かといって「お亡くなり」というのもありきたりかなと。次回からは使う言葉の候補として「泉下の客になる」を入れました!

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