古文 鑑賞

あなたはどちら?

 徒然草236段に次のような話があります。

 

 (要約)御前にある獅子と狛犬が、背中を向けて後ろ向きに立っていたので、上人はこの珍しい立ち方には深いわけがあるのだろうと、とても感激して涙を流した。実は子供がいたずらして獅子と伯犬の置き方を変えただけであったので上人の涙は無駄になった。

 

 私が興味深いのは徒然草そのものではなく、解釈の方です。NHKのテキストでは「権威を疑え」というテーマで236段を取り上げています。それに対して朝日新聞出版の訳本では「ピュアな人はほほえましい」というタイトルで取り上げられているのです。

 

 

 私個人としては「権威を疑え」というタイプですが、どちらが正しいかと聞かれると「どちらも」と答えるでしょう。

 

 ただ…私としては「権威を疑え」のみならず「物事って種明かしすると意外とシンプルなものだ」という気持ちもあります。つまり「すごい理由やそれなりの意味や計画、策があると思いきや意外と本当の理由とは単純」だということです。

 

 古典の随筆や説話集等は「教訓を含んでいる」場合が多いため、上記のように解釈が分かれる場合が多く、国語の試験に出されると答えに迷います。でも、現代国語で出題される文章は「テーマ」や「主張」がはっきりしているものがほとんどです。

 

 古典にしろ現代文にしろ解釈を迷ったら「一般的な教訓を示唆している物」を選ぶことが鉄則です。ゆめゆめ(決して)自分の感性で選ばないことが重要です。

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