古文 鑑賞

あえて前向きに

 「この文章のテーマは、いかにして夢を持って充実した日々を歩んだか?ですよね。ありきたりですよね・・・。こんなのって。本当はこんないいことばかりではなくて苦労も散々してきているはずなのに、それは一切書かれていない!白けます。」 

 

 これは、中学の教科書に掲載されている随筆に対しての某生徒のコメントです。確かにいいことばかりを書かれていると・・・下手すると白けます。とはいえ、先の随筆に関して言うならば既に刊行されている本から良い部分のみをピックアップして掲載されている可能性が高いです。

 

 もしかすると作者は「中学生向けに、前向きな文章の書きおろしをお願いします!」と教科書会社から頼まれたのかもしれません。どちらにしても敢えて「前向きな、良いことだけ」を記したのは間違いないと思われます。

 

 さて、似たようなものに清少納言の「枕草子」が挙げられます。清少納言が仕えていた定子は、実家が権力闘争に敗れたため、孤立を深めていました。そのため、定子を元気づけようと、厳しい現実には目をつぶり輝かしい日々だけを記したと言われています。

 

 

 さらに言うならば「人に読まれる」ことを前提としているので「悪いこと」は敢えて書かなかったと思われます。とはいってもご周知のとおり清少納言は「僧侶はイケメンが良い」だの「アポなしの客は迷惑」といった本音も炸裂させているので、1000年たった今も私達読者が共感するのです。

 

 何が言いたいか?「人に読まれる」ものに関しては読み手の気分が下がるようなことはあまり書かない方が良いということです。苦労・不幸な出来事を淡々と事実として書くのは「あり」としても、少なくともネガティブな感情や人を貶めるようなワード、内容を延々と書き綴るのはいかがなものか?読み手を意識することが大切です。

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