古文 語彙力

言葉の変遷

 昔から変わらず使われている言葉がある一方、死語になるものもあれば、長年にわたって意味が変化ていく言葉もあります。長年にわたって意味が変化した言葉の一つが「いたづら」です。現代では「悪ふざけ」という意味で使われるこの言葉。

 古語では①むなしく②無駄に、となります。小野小町の有名な和歌にも使われています。

花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに   

(現代語訳)桜の花の色は、むなしく衰え色あせてしまった、春の長雨が降っている間に。ちょうど私の美貌が衰えたように、恋や世間のもろもろのことに思い悩んでいるうちに。

 現代語と古語では表記が同じでも意味が違うことが多いので要注意です。とはいえ「いたづら」が「無駄に」という意味は現代でも残っており「いたづ(ず)らに時間だけが過ぎていく。」という表現があります。

 「いたずらに時間が過ぎていく」という表現は小説などによく用いられているので、読書好きのタイプは意外と自然に身に付いている言葉。少しずつ慣用表現、中学生以上は古語を一つ一つしっかりと覚えていくことが大切です。それらが数年先には死語になっているかもしれないけれど、それはそれで言葉の変遷を体感できるので良しとしましょ。

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